小川洋子 / 薬指の標本

前にシュガータイムの文庫を読んだ時に、解説でこの人はまだ自分の変態さを分かっていないといわれていたと思うのだけれど、この薬指の標本はその変態さがびしびし伝わってきた。弟子丸氏や、標本室の存在など、それだけ見ればとても受け入れがたいものをほとんど抵抗無く受け入れて読み進めていってしまう。
ごくゆるやかな恐怖が本当に恐ろしい。