ジョゼと虎と魚たち

この映画を、22歳のこの時に観ることができて本当にうれしかった。
きっと、これよりはやくてもおそくても、こんな気分にはなれなかった。
というか、映画や絵、芸術なんてものはそういうものなのかもしれないけど。
年齢、恋愛、考え方、すべてにおいて、今、この映画を観ることが、良くも悪くも非常に意味を持つ時期のように思う。
僕は今、こんなにも泣きそうで緊張していて吐きそうでもどかしい。
すべては何のため?
嘘は言っていないけど、言ってたことは本当じゃなかった。
そのすべてを直感で受け入れる、飾り気のない心にとても魅かれる。
しかし、その魅力ゆえに全力で立ち向かわねばならないのだ。
 
僕は恋をしていて、もしくは恋をしたことがあって、その断片を目の前にたたきつけられたような感覚に襲われた。
僕は何のために恋をしている、していたのだろう。
僕はどうやら歩くスピードを間違えた。
急ぎすぎた。
しかし、前までは進んでもいなかった。
これを進歩とするか、おろかな過ちとするか。

観終わったあと、道はわかっているのに迷子になった感覚になる。
行きたい場所、行ける場所、うけいれてくれる場所が見つからずに途方にくれてしまう。
僕は今あの物語の中にしか、この感情を押し込めることができない。
そして、いつか自分もこの感情を一緒にすごした日々に閉じ込めてしまうのだろうか。
自分もやはりジョゼとずっと一緒にはいられないのだろうか。
 
これは恋愛映画だった。
こうやって思ったことを綴るまで気がつかなかった。
恋愛なんてしょうもないけど、どうしようもなくやってくる。
 
とにかく、この映画はあまりにも自分にとってタイミングが良すぎた。おかげさまでこんなにも苦しい。